Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー24冊目】「やりがいのある仕事」という幻想 森 博嗣

 

「やりがいのある仕事」という幻想

「やりがいのある仕事」という幻想

 

 

本文より。

面接に臨む若者は、仕事に対してやる気があるところを見せる。「やりがいのある仕事がしたい」と言葉では語るだろう。しかし、そもそも、「やりがい」というものがどんな概念なのか、若者たちはまだ知らない。知らないのに、言葉だけでそう言って、気に入ってもらおうと振る舞っているだけなのだ。そして、振る舞っているうちに、自分でも、言葉だけで「そういうものがあるはずだ」と信じ込んでしまう。  これが、「仕事のやりがい」という幻想に関して生じる問題の根源だ。

 

A 本の要約:

  1. どんなもの?
    作家である筆者が、若者の間で言われる「やりがいのある仕事」について、自身の体験を交えながら「そんな仕事はない」と説いている。その上で、「こう考えたほうが上手く生きていけるよ」というソフトランディングな方法を解説している。

  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
     筆者はまず職業に貴賎はなく、どんな仕事をしている人でもまた、仕事をしていてもしていなくても本質的には人の価値は変わらないと話す。その程度の価値しか仕事には無いからだ。
    繰り返すが、職業に貴賤はなく、どんな仕事でも偉い、偉くないということはない。無職であっても、人の価値が下がるわけではない。同様に、金持ちが貧乏人よりも偉いわけではない。どんなに仕事で成功しても、人間として偉くなれるわけではない(中略)
    国を動かすとか、未来を築くとか、それは個人の力によるものではない。そういう力を持っていると錯覚しているだけだ。権力を握るのも、大きなお金を動かすのも、仕事上の立場、つまりルール上に成り立つものであって、個人として特に偉いわけではない。「俺が国を動かした」と言いたいのかもしれないが、せいぜい、「関わった」という程度のものにすぎない。そんなことを言ったら、ほとんどの人が国を選挙を通じて動かしている
     その上で、社会で安心して暮らしていくには「仕事はしなくてはいけないものである」という前提を持って話を進める。
    当たり前の話だが、仕事の目的は金を稼ぐことである。義務とか権利とかそういう難しい話をしているのではなく、ただ、この社会で生きていくためには、呼吸をするように、トイレにいくように、ものを食べるように、やはり「働くしかない」ということ。もう少し別の表現で言うと、生きていくには、「働くことが一番簡単な道」なのである

    そうして、仕事は時間と賃金の交換であると述べ、「自分は何なら自分の時間を交換してもいいかを考える」こと、ひいては「自分にとって何が価値のあることなのか」を考えるように推奨している。自分の未来を想像し、何が自分にとって嬉しいのか、どうなれば自分は成功だと感じるのかを考えること。これが必要だと筆者は説く。
    人それぞれに生き方が違う。自分の道というものがあるはずだ。道というからには、その先に目的地がある。目標のようなものだ。まずは、それをよく考えて、自分にとっての目標を持つことだ。 「成功したい」と考えるまえに、「自分にとってどうなることが成功なのか」を見極める方が重要である

    何が自分にとって嬉しいのか、どうなれば自分は成功だと感じるのかを考えること。これが必要だと筆者は説く。そしてそれは本当に考えただけではわからない。「たぶんこれ」という仮の正解を実際にやってみることで、答え合わせをする。「これは違った」と失敗することがあるかもしれない。「やはり成功だった」と一発で正解を引き当てることは稀だろう。しかし、正解を求めて仮の正解に対していくつもやってみること。これが必要だと筆者はいう。その過程が人生の中に潤いをもたらしてくれるはずだ。



  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
     疑問でも反証でもないが考えたことを。オトナたちが「仕事は楽しいものだ」「勉強は楽しいものだ」という理由は何となく分かる。そう言わないと子どもたちがまずやる気を出さないからだ。しかし、一番可愛そうなのは「楽しくない」とそれらを敬遠した結果、どうしようもなくなってそれらと直面せざるを得なくなったときだ。そのつけを払うのは誰でもない子供達本人なのだが。


  4. 新しいと思った3点

    なんとなく、意味もわからず、「仕事にやりがいを見つける生き方は素晴らしい」という言葉を、多くの人たちが、理想や精神だと勘違いしている。それは、ほとんどどこかの企業のコマーシャルの文句にすぎない。そんな下らないものに取り憑かれていることに気づき、もっと崇高な精神を、自分に対して掲げてほしい。それは、「人間の価値はそんなことで決まるのではない」という、とても単純で常識的な原則である

    ・勉強は楽しい、仕事は楽しい。それらは子供自身が思って発信した言葉ではなく、周りの大人達から刷り込まれ、「勉強は楽しいよね?」という刷り込みがあって生じている感情である。その上、楽しいと思うことをやろう、と奨励された子どもたちは楽しくないとそのことをやめてしまう。もし辛いことがあればこのゲームから降りてしまえばいいと考えるようになる。それでは短時間にしかものになる類のものしか続けられないだろう。

    自分の生き方に関する問題は、どこかに解決策が書かれているはずがない。検索しても見つかるはずがない。どんなに同じような道に見えても、先輩の言葉が全面的に通用するわけでもない。自分で生きながら、見つけるしかないのである


B 自分の中での気付き:

  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
     筆者も本文中で書いていたが、仕事の中で楽しいと思う瞬間は1割あれば上々だと思う。大概の瞬間は面倒だったり、しんどい思いをする。自分の感覚としてはそのような思いがあるが、雑誌などのインタビューを見ると「10割楽しい」くらいの人のインタビューばかりが載っている。これがギャップを起こす原因だろう。
 
 

C 気づいた結果として起こそうと思う行動:

  1. この内容を使える場面は?

    大きな期待を仕事に対して掛けすぎない。
    それでも期待がより大きい職場に行けるように努力をする。

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【読後レビュー23冊目】毎日、こまめに、少しずつ。 ためないキッチンと暮らし ワタナベ マキ

 

毎日、こまめに、少しずつ。 ためないキッチンと暮らし

毎日、こまめに、少しずつ。 ためないキッチンと暮らし

 

 

A 本の要約:
  1. どんなもの?
    家事全般について、毎日少しづつ手をつける、やること・定位置を決めておくという方法で、なるべく心理的負担が少なく毎日を過ごす方法を提案している。

  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
     食事・掃除・道具選びについて特定の信念に基づいて、定量的に決めている。そしてその決めたものが非常に適切であると感じる。とても出来ないことをやっているわけではないし、かといって何かが破綻しているわけでもない。


  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
     完全に真似することはできないので、自分のかけられる時間の範囲で真似しようとすればいいと思う。


  4. 新しいと思った3点

    献立の考え方のコツを続けますが、その日1日だけでなく、3日分くらいをまとめて考えるのが効率的です。予定がずれてしまったり、疲れて作れなかった日があっても、3日分なら食材も傷めず、そのあとも何とかまわしていけるし、買い物もそのくらいの単位で考えると、無駄な食材を買うのを防げるからです。


    ・掃除は、自分なりにルール化して、ルーティーンにしてしまうこと、つまり「考えなくても、身体が動く」状態にしておくことが大事です。「さて、掃除を始めよう」と思ったときに、「今日はどの場所から始めよう?」「掃除機だけ? それとも水ぶきもする?」などと、迷ったりすると、それだけで面倒な気分に。「この場所は、こういう掃除方法を毎回する」と決めておけば、習慣化させやすいし、「それがワンセット終わるまでが、ひと仕事」と、目標点がはっきりします。

    自分のキッチンを象徴するようなひとつのアイテムを見つけて、新しく選ぶ道具が、その隣に並んでしっくりくるかどうかということを、ひとつの基準にしてみるのも手だと思います。最愛のアイテムと寄り添えるようだったら、その子は仲間に入れても大丈夫。そのあたりの感覚は少し、洋服選びと似ているかもしれません。


B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
    家事全般について、暗黙的に決めていることは多い。今は仕事がそこまで忙しくないという事情や、子供もいないという事情から、かなり時間が自由に使えているという状態だと感じる。その状態でなくなった時のために、「最悪これはやりきろう」「これはこの頻度でいいや」というものを明確に決めておく必要はあるかと感じた。
 
 
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
    特に料理について参考にしたいと感じた。今は忙しい日は惣菜を買って帰るというのをやってみているけれど、自分の希望としてはそういうときでも家で作ったものを食べていたいという気持ちがある。
    これは育った環境からなのかもしれないけど、節約にもなるだろうし、下ごしらえまでをやっておくという方法を導入して、なるべく自炊で平日を過ごせるようにしたい。
 

【読後レビュー22冊目】弱いつながり 検索ワードを探す旅 東浩紀

 

弱いつながり 検索ワードを探す旅

弱いつながり 検索ワードを探す旅

 

 

 
本文より。
 
ネットは無意味だ、本当に重要なことは言葉にならないというわけではありません。どうのこうの言いながら、ぼくたちはネットと言葉に依存しなければ生きていけない。重要なのは、言葉を捨てることではなく、むしろ言葉にならないものを言葉にしようと努力することです。本書の言葉で言えば、いつもと違う検索ワードで検索すること
A 本の要約:
  1. どんなもの?
     哲学者の筆者が語る人生論。近年はIT技術の休息な発達によって、検索で様々なことを知れるようになった。しかし、検索するための「検索ワード」は自分の中で作られたもので、自分の中で作られる検索ワードはその人のいる場所や環境に規定される、というのが筆者の意見。人生を深めていくには、強い絆と弱い絆が必要だと説く。今の自分をそのまま深めていくなら強い絆が必要だが、それだけでは環境にただもたれ掛かる人生になるだろうと筆者は言う。弱い絆
    検索ワードが環境から与えられるとしたら、今いる環境から強い影響を受け、自分という存在は、環境から与えられる入力情報をただ出力するだけの存在になってしまう。充実した人生にするには、時々検索ワードを変えるような「弱い絆」をえる(身を置く環境を変える)必要があると筆者は主張している。


  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
    「自分が求めること」と「環境から自分が求められると予測されること」が一致するときこそ、もっともストレスなく、平和に生きることができます。
     
     こう言い切れるところがすごい。
    個人は環境から与えられる入力情報をパラメータとする結果でしかないとすれば、上記が最もストレス無く生きることが出来る条件だと思う。


  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
     人が環境から与えられる入力をただ出力する装置だとしても、人の数だけ環境があると考えられる。この意味で筆者の主張に疑問が起きた。しかし、筆者は「与えられた環境からいかにはみ出すか」、「はみ出した部分が自分が求めることといかに合致するか」という点を重視している。
     これは疑問なのだが、「自分が求めること」を筆者はどのように見つける・獲得するのがいいと思っているのだろう。

  4. 新しいと思った3点

    世のなかの人生論は、たいてい二つに分けられます。ひとつの場所にとどまって、いまある人間関係を大切にして、コミュニティを深めて成功しろというタイプのものと、ひとつの場所にとどまらず、どんどん環境を切り替えて、広い世界を見て成功しろというタイプのもの。村人タイプと旅人タイプです。でも本当はその二つとも同じように狭い生き方なのです。  だから勧めたいのは、第三の観光客タイプの生き方です。  村人であることを忘れずに、自分の世界を拡げるノイズとして旅を利用すること。旅に過剰な期待をせず(自分探しはしない!)、自分の検索ワードを拡げる経験として、クールに付き合うこと。

    ・環境が人を作るということ。クリエイターの中に見を投じればクリエイターの成り方がわかり、なることが出来る。環境に左右されずに何者かになるような天才もいるけれど、残念ながら多くの人は天才ではない。
    ・情報はいくらでも複製可能だけれども、時間と特定時間における個人の感覚は複製できない。なので、今この時間に感じた感覚はかけがえのないものである。なので、個人の感覚を想起されるものとして、物を残すことは大切。写真や物理的なモニュメントなど。

B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
     もう一度引用します。

    「自分が求めること」と「環境から自分が求められると予測されること」が一致するときこそ、もっともストレスなく、平和に生きることができます。

          「環境から自分が求められると予測されること」が何かわかるため、また、『「自分が求めること」と「環境から自分が求められると予測されること」が一致する時』がいつなのかを知るために旅が必要だと筆者は説いている。環境を変えたことで自分の中にインプットされた情報・言葉。それらは環境を変える前では考えられなかった情報や言葉となり、新しい検索結果を自分にもたらすだろう。大切なのは、もたらすだろう結果を否定しないこと。つまりは「与えられた環境からはみ出す」ことを躊躇しないことだと思う。
 
 
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
    検索ワードを探す方法は旅だけではないと思う。
    新たな知見が得られるという意味では、普段会わない人と会って、話をすることでも「今の環境からはみ出す」ことは可能だと思う。旅というと大げさなような気がするけれど、単に会話をすることでも可能と思えば随分ハードルは下がるなと感じた。
 
 

【読後レビュー21冊目】仕事の速い人は150字で資料を作り3分でプレゼンする。 「計って」「数えて」「記録する」業務分析術 坂口孝則

 

自由業のぼくからすると、会社員が会社にあるノウハウについて無頓着で驚愕する。ノウハウとは、多くは資料に結実している。自由業者だったら時間をかけていられない書類様式一つひとつも、ずっと熱心に考え続けている社員がいる。もちろん、それは暇人が多いからかもしれないけど、他の社員が自分の代わりに頭脳労働をしてくれている事実の意味は大きい

 
A 本の要約:
  1. どんなもの?
     経営コンサルの筆者が、仕事をうまく進めるために資料作り・文章づくり・営業・公演それぞれの方法論を筆者の経験を元にまとめたもの。筆者は会社員時代の同僚・先輩らの上記4つを分析・計測して仕事をすすめる上での方法論・教科書としてまとめている。


  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
     計測・分析するというのが本書の肝。様々な提案プレゼンの資料を計測したところ、仕事の資料は25パターンに分類できることや、資料作りに着手する前に、資料の「①目的、②対象者、③メッセージ、④ストーリー(構成)、⑤媒体
    」を明らかにする必要がある、などの方法論に行き着き、紹介している。特に、資料の見やすい文字数や、スライド枚数などは今すぐ実践でき、「わかりやすい」「それっぽい」と思われるようなポイントになるだろう。

  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
     どうしてもこの類の本はノウハウ的な情報になってしまい、記載されている方法論は時代とともに変わっていってしまう。デザインの隆盛があるように、どんな資料が見やすいか、どんな資料を作って欲しいと思われるかというのは日々変わっていくものなので、常にアップデートはしていかないといけないなと感じた。



  4. 新しいと思った3点
    ・プレゼンや資料作りで「こうすれば何となく評判がいい・それっぽく見える」という方法論が知れたこと。
    ・資料の型を意識することで、他人のプレゼン資料を見ている時は、どんな型を想定して作っているのかなど自分の感性を磨くための時間として使える。自分ならこういう要素を足すとか、逆にこの要素は冗長だ・不要だという思索も出来る。

    ・会社という場所は、参考にする先輩・同僚が山ほどいる「恵まれた環境」である。他人が頭脳労働をして汗を書いて作った資料を見れるし、参考にできる。その思考の経緯を知れる。それほどの恵まれた環境なのだから、誰かの作った資料をみずに捨ててしまうのは本当にもったいないと感じた。


B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
     無印良品は仕組みが〜でも述べられていたが、自分の仕事を定量的に把握し・分析することは大事。

    rockeyy2.hatenablog.com

    徹底的な仕事のマニュアル化(経験と勘の排除)が無印良品では行われていることが書かれている。無印良品では店頭のディスプレイの方法や商品名の付け方、さらには新人教育のマニュアルもあるとのこと。それらを用いて、なるべく仕事の標準化を行い、全国どこでも同じように商品提供が行えるという。



     さらに本書では自分の仕事を内省するだけでなく、「仕事ができる誰かの仕事」を分析しろ、と主張している。これはもっともな話で、内省するだけでは自分は超えないし、さらなる上達は望みにくいだろう。出来る人の仕事を分析することで、自分の仕事との差異を明らかにして、どうすれば近づけるかという視点で考えること。これが必要。車輪の再開発は本当に不要。
 
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
     本書で述べられている資料作りのノウハウはすぐに真似できる仕事術だと思う。すぐに導入する。更には、計測する、記録する、という
    「仕事ができる誰かの仕事を分析する方法」を身に着けないといけない。この方法は新たな仕事をする際に、仕事の進め方を知る方法として必要だと感じた。新たな環境に身をおいた時に、前任者や先輩から仕事の方法を教わるのは当然なのだが、その際に、計測する・記録するという方法を行えばより効果的に仕事の真似ができる、ということを覚えておきたい。
 

【読後レビュー20冊目】無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい 松井 忠三

 

 

本文より。
 

無印良品のマニュアルは、現場で働くスタッフたちが「こうしたほうが、いいのに」と感じたことを、積み重ねることで生まれた知恵です。  また、現場では毎日のように問題点や改善点が発見され、マニュアルは毎月、更新されていくのです。仕事の進め方がどんどんブラッシュアップされるし、自然と、改善点がないかを探しながら働けるようにもなります

 
A 本の要約:
  1. どんなもの?
    無印良品を展開する良品計画の会長(現名誉顧問)である筆者が、無印良品にある徹底的なマニュアルについて説明し、仕事は仕組み化し、それを有機的に変更し続けることが大切であると述べている。

  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
     徹底的な仕事のマニュアル化(経験と勘の排除)が無印良品では行われていることが書かれている。無印良品では店頭のディスプレイの方法や商品名の付け方、さらには新人教育のマニュアルもあるとのこと。それらを用いて、なるべく仕事の標準化を行い、全国どこでも同じように商品提供が行えるという。
     更には、マニュアルを作成した段階ではまだ最初の一歩目だと話しており、作成したマニュアルを一人一人の社員が実践し、直すべきところは修正案を上げ、修正していくことが出来ている。その結果、常に新しい仕事の仕方にブラッシュアップでき、高い品質の商品提供が可能とのこと。

  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
     マニュアルを修正する際の体制について疑問があった。本書に記載のように、現場レベルの意見・お客様からのフィードバックが多く出て、それをマニュアルに反映するという正の循環になっていれば問題はない。
     ただ、マニュアルの変更を決定する仕組みについて、マニュアルの変更は地域リーダーのチェックの上、全国的な会議にかけて決定を行うということだったが、これは全社的な哲学が全国的に浸透してこそできること。目指すべき目標と言い換えてもいいが、全社を広く浸透する哲学があってこそスピーディーな決定・変更が可能になるものだと考える。変更することに必要以上に反対が出るようになったり、逆に修正案が全く出なくなったりしたら、組織として悪循環になっていると思われるので注意が必要な点だと感じた。


  4. 新しいと思った3点
    ・実行力のある組織は強いという指摘。これは昨年末頃からビジネス本ではやった「GRIT」と同じことを言っている。計画を立てても計画を立てる段階で組織が疲弊してしまい、実行に移せないということでは本末転倒である。実行有りきの計画であるべきだし、どうすれば計画通りの実行していくことが出来るか、という行動心理学的なアプローチが計画段階に必要だと感じた。

    ・マニュアルの精緻さ。本書の中でマニュアルの幾つかが公開されているが、無印良品のマニュアルは、新入社員が見ても理解できること、が一つの基準に作成されている。そのため、図が多く使用されていたり、なんでこのマニュアルがあり、この項を使って説明が行われているか、というWhyの部分をしっかりマニュアル内に落とし込んでいる印象だった。

    ・標準化/マニュアル化の力。昔は個々の店長の力量に各店舗の売上が左右されていた、というような記述もあったが、店舗の魅力を伝えるのも、仕事の上のムダを省くのもマニュアルの整備を行うことで達成されている。これらはいわば仕事上のオフェンスとディフェンスであり、両方共に対してアプローチできる方法としてのマニュアルの作成と継続的な更新が必要と感じた。


B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
     私の仕事の中でも標準化・マニュアル化出来る部分は多い。特に現在の業務は1年・1ヶ月のルーチンワークに近く、1年やるとノウハウ的なものがだいぶ貯まる。それをマニュアル化して後輩の育成や引継ぎに利用していきたいと感じた。
 
 
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
     上記記述したように、個人的な仕事上のマニュアルを作りたいと感じた。
     具体的には、①1年・1ヶ月のルーチンスケジュールの作成②今やっている作業の洗い出し③洗い出した作業をルーチンスケジュール毎に行う作業と、そうでない作業へ分類④ルーチンスケジュール毎に必要な作業のマニュアル作成⑤ルーチン以外で発生する作業のマニュアル作成かなと。
 

【読後レビュー19冊目】マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法 ちきりん

 

 

本文より。

不安から逃れられない人がいる一方、ずっと少ないものしかもっていないのに、「なんとかなる」「なんとでもなる」という自信とともに、世の中をわたっていける人もいます。この両者の違いがまさに「売れるものに気がつく能力」であり、「価値を認識する能力」の差です。 本書ではこの能力を、「マーケット感覚」と命名しています。

 
 
A 本の要約:
  1. どんなもの?
    コンサルの筆者が、自由経済の市場に置いて考える事の重要性を読く本。マーケット感覚を身につけるための方法が5つあり、それぞれについて解説している。


  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
    マーケット感覚を身につけるための5つの方法について以下と述べている。
    ①プラシング能力
     自分はこのサービスにいくらの値段をつけるのか。自分独自の判断指標を持つこと。自分の価値指標と照らし合わせて、このサービス・ものを自分はこの値段で買うだろうかということ考える事。この値段で買うとしたら、どれだけの時間・インパクトの出費になるだろうと考えてみること。この時になるべく今の収入状況ならとか、価値として本当にほしいものなのかという検討が具体的になされることが必要。

    ②インセンティブシステムの理解
    人の、動機から行動に至るまでのプロセスについての理解。どうせ手に入らないと悲観的に考えるのではなく、どうすれば手に入るのか。いくらのペースでお金を貯めれば手に入るのかを建設的に考えられること。また、他人のインセンティブシステムに働きかけて、自分の持つ問題を解決できないか?を考えてみること。相手が何を心配しているのかを想像すること。自分はどうなれば幸せなのかを考えること。

    ③組織と市場の意思決定スタイルの違いの理解
     組織的な意思決定は多数決。多数は選ばれ、それ以外は全く選ばれない。一方市場は、少数でもほしい、という人がいればその人達には購入される。ロングテール理論。
     また、組織的な意思決定は決めてから動くが、市場的な意思決定は動きながら決める。選択肢を一つにしてしまっている組織では、その決定を失敗しないように動くしか無いが、市場的な決定では、諦めを付けて変更することが容易である。
    ④成功と失敗の再定義
     市場での学びは、やってみて失敗から学び、修正しながら成功に到達すること。今置かれている環境で成功するにはどうしたら良いかを現実でやってみることで学んでいくこと。失敗しないように準備するのではなく、失敗してから、失敗した原因の追求をする。置かれている環境の問題なのか、何かの前提条件が間違っていたのか、など。
    ⑤環境には固有の市場性レベルがあり、意識的に市場性の高い環境を選ぶ

     
    市場性の高い場所とは、需要者と供給者が価値を交換する現場や、人間のインセンティブシステムが直接的に働く場所、組織的な意思決定ではなく、市場的な意思決定方法が採用されている環境のことです

    アメリカのMBA、公共部門、ベンチャー企業。変化が頻繁に起きている場所を選び続けること。

  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
    革新的であることは間違いないが、どのように実践するかという点がまずもって難しい。現状規制がある内容や、実行してみたら文化的な・空気的な壁があったということがある気がする。ただ、それくらい思い切った内容だからこそ、清々しく、実践できたら楽しいだろうなと想像させる。


  4. 新しいと思った3点
    ・そのサービスが与える価値は何か、競合として何が考えられるか、という経営学のアプローチを行っていること。
    ・変化を感じ取り、自分で進むべき方向を見定める力が必要。
    ・最終的には変化を楽しめ、と言っている。社会の変化に適応するというよりも、変化する社会に身を任せ、めいいっぱい楽しむことを推奨している。

B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
    チャレンジすること、変化を楽しむことは出来ていないなぁと感じる。特に、自分だったらこうするのに、とかどうしたらもっと楽しめるだろう、もっと面白いだろうと考える事が、マーケット感覚を得ていくためには必要なのかなと感じた。
 
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
    マーケット感覚として大切なのは、サービスを提供する相手は「普通の人」。自分が普通の人なら何か価値を与えられる。ライフサイクルに即した話題はまさにその通り。日本人の殆どは高校生になるし、50%は大学生になる。割合が下がったとは言え、結婚する人、子供を産む人はそのイベントにまつわる知識を欲している。これらを対象にするサービスは普通の人相手にできる、マーケット感覚のあるサービスになり得る。

【読後レビュー18冊目】無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論 海老原 嗣生

 

 

本文より。

内発的動機とは「やる気」のことです。マネジメントの基本がここにあるといってもいいでしょう。

 
A 本の要約:
  1. どんなもの?
    リクルートを経て人材コンサルを務める筆者が、日本的マネジメントの特長を明らかにし、マネジメント理論を現場で発生する事象と絡めて紹介している。

  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
    日本的経営の特長を理論を用いて説明している。学問的な分類を使うと、経営学の中の組織論・行動組織論に当たる部分。内発的動機づけを重視し、部下が内発的動機づけを持つことが出来るには、上司には何が必要か、どんな指示が良いとされているか、などの点から組織に必要な戦術を指摘している。基本的には、日本企業が持っていた特長を説明している。

  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
    最近だと新卒一括採用を始め、現代の外部環境に日本的経営の手法が合わなくなっているのではという指摘は多い。特に本書を読んでいて感じたのは、一人の人材を最後まで社の中で育てようという日本的経営の前提は昨今難しくなっているという現状だ。どのタイミングでリストラに遭うかわからず、リストラされてしまえば、「途中までしかスキルを持たないただの人」になってしまう。このような環境を誰が好んで選択するだろうか。


  4. 新しいと思った3点
    ・日本企業の前提はすべての人材を最後まで面倒見て、その中でいかに内発的動機づけを高め続けることが出来るのか、といったことに尽きる。
    ・欧米型の企業との違い。欧米型はポストに人を貼り付ける。日本はひとまず採用して、空いた仕事をさせる。ポストに人を貼り付けられればスペシャリストが育つ。暇な時には本当にすぐ仕事がなくなる。流動的な労働市場を前提としている。
    コアコンピタンス選択と集中の話。選択と集中をしすぎると発展が難しくなる。ある程度の遊びや余裕を持たせておかなくては、新たなアイデアや事業は生まれない。

B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?

    マネジメントの根幹とは「2つのWと2つのR」だと説いています。このあと出てくるエドウィン・ロックやリチャード・ハックマン、グレッグ・オールダムの言わんとすることを彼なりに意訳した名言でしょう。  2つのWとは、「What(何を)」「Way(どうやって)」、2つのRとは「Reason(理由)」「Range(範囲)」です。

    後輩指導の際に、WhyとReasonは意識しているが、忙しいときに出来ているかと問われると自信がない。また、Rangeについてはあまり意識できていなかった。これはOKという範囲の指定や提示。「自由にすればいい」と言われたときの虚無感。実際に相対してみると感じる感情である。これは今後意識していきたいと思う。
 
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
    まずはマネジメントの根幹と記述のあった上記Bの記載について後輩指導の際に意識する。
    忙しいときほどWhyを抜かした指示になってしまったり、後からReasonの説明を抜いてしまうことがある。自戒だなと。