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Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー22冊目】弱いつながり 検索ワードを探す旅 東浩紀

 

弱いつながり 検索ワードを探す旅

弱いつながり 検索ワードを探す旅

 

 

 
本文より。
 
ネットは無意味だ、本当に重要なことは言葉にならないというわけではありません。どうのこうの言いながら、ぼくたちはネットと言葉に依存しなければ生きていけない。重要なのは、言葉を捨てることではなく、むしろ言葉にならないものを言葉にしようと努力することです。本書の言葉で言えば、いつもと違う検索ワードで検索すること
A 本の要約:
  1. どんなもの?
     哲学者の筆者が語る人生論。近年はIT技術の休息な発達によって、検索で様々なことを知れるようになった。しかし、検索するための「検索ワード」は自分の中で作られたもので、自分の中で作られる検索ワードはその人のいる場所や環境に規定される、というのが筆者の意見。人生を深めていくには、強い絆と弱い絆が必要だと説く。今の自分をそのまま深めていくなら強い絆が必要だが、それだけでは環境にただもたれ掛かる人生になるだろうと筆者は言う。弱い絆
    検索ワードが環境から与えられるとしたら、今いる環境から強い影響を受け、自分という存在は、環境から与えられる入力情報をただ出力するだけの存在になってしまう。充実した人生にするには、時々検索ワードを変えるような「弱い絆」をえる(身を置く環境を変える)必要があると筆者は主張している。


  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
    「自分が求めること」と「環境から自分が求められると予測されること」が一致するときこそ、もっともストレスなく、平和に生きることができます。
     
     こう言い切れるところがすごい。
    個人は環境から与えられる入力情報をパラメータとする結果でしかないとすれば、上記が最もストレス無く生きることが出来る条件だと思う。


  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
     人が環境から与えられる入力をただ出力する装置だとしても、人の数だけ環境があると考えられる。この意味で筆者の主張に疑問が起きた。しかし、筆者は「与えられた環境からいかにはみ出すか」、「はみ出した部分が自分が求めることといかに合致するか」という点を重視している。
     これは疑問なのだが、「自分が求めること」を筆者はどのように見つける・獲得するのがいいと思っているのだろう。

  4. 新しいと思った3点

    世のなかの人生論は、たいてい二つに分けられます。ひとつの場所にとどまって、いまある人間関係を大切にして、コミュニティを深めて成功しろというタイプのものと、ひとつの場所にとどまらず、どんどん環境を切り替えて、広い世界を見て成功しろというタイプのもの。村人タイプと旅人タイプです。でも本当はその二つとも同じように狭い生き方なのです。  だから勧めたいのは、第三の観光客タイプの生き方です。  村人であることを忘れずに、自分の世界を拡げるノイズとして旅を利用すること。旅に過剰な期待をせず(自分探しはしない!)、自分の検索ワードを拡げる経験として、クールに付き合うこと。

    ・環境が人を作るということ。クリエイターの中に見を投じればクリエイターの成り方がわかり、なることが出来る。環境に左右されずに何者かになるような天才もいるけれど、残念ながら多くの人は天才ではない。
    ・情報はいくらでも複製可能だけれども、時間と特定時間における個人の感覚は複製できない。なので、今この時間に感じた感覚はかけがえのないものである。なので、個人の感覚を想起されるものとして、物を残すことは大切。写真や物理的なモニュメントなど。

B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
     もう一度引用します。

    「自分が求めること」と「環境から自分が求められると予測されること」が一致するときこそ、もっともストレスなく、平和に生きることができます。

          「環境から自分が求められると予測されること」が何かわかるため、また、『「自分が求めること」と「環境から自分が求められると予測されること」が一致する時』がいつなのかを知るために旅が必要だと筆者は説いている。環境を変えたことで自分の中にインプットされた情報・言葉。それらは環境を変える前では考えられなかった情報や言葉となり、新しい検索結果を自分にもたらすだろう。大切なのは、もたらすだろう結果を否定しないこと。つまりは「与えられた環境からはみ出す」ことを躊躇しないことだと思う。
 
 
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
    検索ワードを探す方法は旅だけではないと思う。
    新たな知見が得られるという意味では、普段会わない人と会って、話をすることでも「今の環境からはみ出す」ことは可能だと思う。旅というと大げさなような気がするけれど、単に会話をすることでも可能と思えば随分ハードルは下がるなと感じた。