【読後レビュー40冊目】コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる 山崎亮
コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)
- 作者: 山崎亮
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/09/24
- メディア: 新書
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住民はますます「お客さん化」する。「集客都市」という言葉が流行った時期もあったが、お客さんばかりを集めた都市になりかねない。(中略)主体的にまちへと関わる人たちの意識を取り戻さないといけない。
本の要約:
どんなもの?
元々建築家の著者が、人口減少社会、高齢化社会を背景に「何をデザインすべきか」「まちの豊かさとは何か」を考えて実践してきたことをまとめたエッセイ集。コミュニティデザインとは何かを教科書的に語っているわけではないが、著者の実践からは「住民参加」「主体性を市民に持たせる」などの勘所が学べる。
今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
「住民参加」型のワークショップを開く意味をすんなり理解できた。人口減少、財源が多くない行政主体の開発においては、どれだけ「住民に使ってもらえるもの」を作れるかが大切になる。住民のニーズを把握する手法はいくつもあるだろうが、ワークショップの開催はニーズの把握を行いつつ、顧客の獲得につながっている。流れはこうだ。
①ワークショップを開催することで、建設予定の施設に対する興味・関心を持ってもらう。
②ワークショップ内で「この建物が出来たらどのような活動に利用したいか」というテーマで議論を行ってもらい、それに沿った設備・内装を準備する。
③建築中にはワークショップに参加した人達で「こんなことが出来る」「他の人にも進めよう」という雰囲気が醸成される。
④ワークショップ参加者を中心に建築後の建物の利用者が獲得できている。
議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
この住民参加型ワークショップのミソは「①いかにワークショップ自体を楽しく・雰囲気良く行えるか」「②実行力のある市民・もしくは市民グループにワークショップに参加してもらえるか」だと感じた。雰囲気の醸成という部分が非常に肝になるため、①については、ワークショップを進行するコーディネーターの技量が試される。また②のためには、どんな市民・市民グループが活動に積極的かというリサーチを事前に行う必要がある。