Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー40冊目】コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる 山崎亮

 

 

コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)

コミュニティデザインの時代 - 自分たちで「まち」をつくる (中公新書)

 

 

 
本文より。
 

住民はますます「お客さん化」する。「集客都市」という言葉が流行った時期もあったが、お客さんばかりを集めた都市になりかねない。(中略)主体的にまちへと関わる人たちの意識を取り戻さないといけない。

 

 

 

本の要約:

どんなもの?

 元々建築家の著者が、人口減少社会、高齢化社会を背景に「何をデザインすべきか」「まちの豊かさとは何か」を考えて実践してきたことをまとめたエッセイ集。コミュニティデザインとは何かを教科書的に語っているわけではないが、著者の実践からは「住民参加」「主体性を市民に持たせる」などの勘所が学べる。

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 「住民参加」型のワークショップを開く意味をすんなり理解できた。人口減少、財源が多くない行政主体の開発においては、どれだけ「住民に使ってもらえるもの」を作れるかが大切になる。住民のニーズを把握する手法はいくつもあるだろうが、ワークショップの開催はニーズの把握を行いつつ、顧客の獲得につながっている。流れはこうだ。

 ①ワークショップを開催することで、建設予定の施設に対する興味・関心を持ってもらう。

 ②ワークショップ内で「この建物が出来たらどのような活動に利用したいか」というテーマで議論を行ってもらい、それに沿った設備・内装を準備する。

 ③建築中にはワークショップに参加した人達で「こんなことが出来る」「他の人にも進めよう」という雰囲気が醸成される。

 ④ワークショップ参加者を中心に建築後の建物の利用者が獲得できている。

  

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 この住民参加型ワークショップのミソは「①いかにワークショップ自体を楽しく・雰囲気良く行えるか」「②実行力のある市民・もしくは市民グループにワークショップに参加してもらえるか」だと感じた。雰囲気の醸成という部分が非常に肝になるため、①については、ワークショップを進行するコーディネーターの技量が試される。また②のためには、どんな市民・市民グループが活動に積極的かというリサーチを事前に行う必要がある。

 
 

新しいと思った点

・アメリカのパークマネジメントでは国立公園に専任のスタッフを置いて、有償で公園を利用した公園利用プログラムを設けている(クリッシーフィールド)。子どもたちへの自然学習、大人の自然体験プログラム(敷地内の土を利用した泥石鹸製作など)を有償で実施し、売上を上げている。
→入場料だけでなく複数の収益源を持っている。補助金に頼らない運営を目指し、公園の施設充実にもつながる。
 
・現在コミュニティデザインは第3期を迎えている。1960〜70年台のニュータウン開発等のハード整備によってコミュニティを作り出そうとした第1期、1980年台からの行政と専門化だけでなく、住民の意見を反映した公共施設のデザインを考えた第2期がそれぞれ存在した。それを踏まえて、ハードの整備を前提とせず、コミュニティ=人とのつながりを作ろうとする動きが第3期のコミュニティデザイン。普段何に困っているかを話す、人と人とが話をするだけでも何かの可能性が生まれるという考え方だ。
 
 
 久しぶりの投稿で文章を書く筋力が衰えていることを実感しました。
継続的に書かないと行けないですね…