Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー6冊目】肚が据わった公務員になる! 新しい仕事哲学と自分の鍛え方  中野雅至

 

 本文より。

 

建前と奇麗事の世界から離脱し、より現実にそった公務員の姿を語る「公務員のリアリズム」を作る必要がある、というのが本書の立場です。仰々しく言えば、戦後の日本国憲法が掲げた「公務員=全体の奉仕者」という理念に真っ向から挑戦し、新しい公務員の仕事哲学作りを目指そうというものです

 
 
A 本の要約:
 1.どんなもの?
公務員の仕事哲学を新たに作ろうと定期している本。全体の奉仕者では現実には即していない。国家、国家専門、都道府県、市町村それぞれで違う仕事のやり方から、それぞれの仕事哲学の持ち方について解説している。国家公務員、地方公務員、公立大学教員を経験した筆者が書くため、自らの体験で語られている部分は説得力がある。
 
 2.今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
見えづらかった公務員の仕事のモチベーションや仕事をすすめる上でのやり方が知れたこと。また各カテゴリを経験している筆者なので、説得力はある。
 
 3.本文の流れから、要点はどこ?またそのうち技術、手法のキモはどこ?
 現在の公共サービスの提供を持続的に行うためには、働く公務員のモチベーションを上げることが重要。しかし、環境の変化などによりモチベーションは落ちやすい状況が整っている。その状況を打開するために、内向きの仕事哲学をそれぞれ持ち、「何のために」仕事をするのか、キャリア的なゴールを提供する必要があると考えた。(各公務員のカテゴリごとに仕事哲学、キャリアのゴールは違う)
 保護されているイメージの公務員も、環境の変化には影響を受けている。その一因が「政治主導」の公務員改革、行政改革。これにより公務員の地位は落ちたし、各方面からのバッシングを受けるようになった。また、そのような悪い状況の中で我慢して仕事をした結果、どのようなゴールが見えるのか。先が見えないというのが公務員のモチベーションが下がる原因になっている。(民間企業のように、営業利益●●億円、個人の売上●●万円、とかの社会的貢献が可視化されない)
 モチベーションを上げるための大義は今まで「全体の奉仕者」という曖昧なものしかなかった。これでは外向きにはよくでも、その仕事をやった結果、自分に帰ってくるものが何なのかわからない。そしてその外向きの奉仕者という言葉も実際にどう認識されているかというと疑問がある。
 そこで筆者が強調するのは、内向きの仕事哲学として「専門知識」と「制約」をあげた。社会問題を解決する、という公務員の仕事を通じて、また自己啓発活動を通じて専門知識をつける。全体へサービス提供をしなくてはいけない(差別することはできない)、無数のステークホルダーの調整などの制約事項を超えていくこと。そのなかでさらなる専門知識をつけること。これが真面目な公務員の人にはモチベーションのあがる仕事哲学になるのではないか。
 ※この後に各カテゴリ別の公務員の仕事哲学を具体的に説明している
 
 4.どうやって有効だと検証した?
自分の経験によるもの。時代背景等で若干違いがある可能性はある。
 
 5.議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
公務員にもやりがい(=内向きの仕事哲学)が必要、ということだったが、今民間企業の就職では「やりがい搾取」が問題になっている。やりがいを選抜時に押しすぎるために実際の仕事とのギャップに苦しむというもの。これに対する対策は必要。やりがい搾取は仕事を知らない選抜時(入社時)に行うからおかしいことになる。入社後の仕事の現実を知った上で現実的なやりがいや、できる目標を掲げているならいいと思う。
 
 6.新しいと思った3点
・社会問題は必ず発生する。それを解決するのが公務員の仕事。
・公務員の内向けの仕事哲学を作ること。公務を通じてどのように自己実現を果たせるのか、もしくはやりがいを感じられるのか。
・専門知識を活かして、様々な業務遂行上の制約を乗り越えること。この方向にベクトルを向けて仕事を進めることが内向きの仕事哲学なのではないか。
 
B 自分の中での気付き:
 1.この本を通して自分の生活を振り返ると?
 春から京都市に帰るにあたってのマインドセットの一部になると感じた。
 
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
 1.この内容を使える場面は?
 働き出してから疲れた時やモチベーションを失うときに読み返すものとして使えると思った。