【読後レビュー41冊目】縮小ニッポンの衝撃 NHKスペシャル取材班
「これから少子高齢化の時代になっていきます」
この言葉を私が初めて聞いたのは、私が小学生の頃だったと記憶している。10数年前。
この時間がたった今でも労働力不足、地域の人口不足というトピックで「少子高齢化」という話題は出てくる。
自治体職員となった今、「縮小する地域をどうするか」という問題意識は喫緊のものであり、話題となっていた本書を読んだ。
目次
ポイント:
市外のスポーツ大会で小学生が夕張のチームであることを隠そうとしたり、大学生が町を出ていっても自分が夕張出身であることを話したがらない。子どもたちは、夕張市民であることを恥じている──そんなショッキングな話も伝わっていた。佐藤さんが最も恐れていた「子どもたちを犠牲にしている」という事態が現実のものになっていた
国は、住民自身に公共サービスを担わせるための制度整備に力を入れる一方、「どこまでが行政の仕事か」の議論は行っていない。つまり、グレーゾーンを残したまま住民組織に、サービスの代行を委ねようとしているとも言える。なし崩し的に、住民の互助が求められる領域が拡大する恐れもあるだけに、協議会のメンバーにもどこか不安があるように見えた
林氏は、過疎化している集落が直面している問題や環境はそれぞれ異なるので、マニュアル的な対応はできないと断ったうえで、「集団移転」も選択肢の一つと説明する。 「最悪のパターンが、集落に住んでいる人が高齢化で病気がちになり、通院や介護のために集落を次々と離れていき、四散してしまうケースです。消滅を座して待つくらいなら、余力があるうちにみんなで麓に降りるという選択肢もあっていいと、私は思います。 ただし、集団移転といっても、どこでもいい、というわけではありません。ポイントは、縁もゆかりもない遠い場所ではなく、例えば麓の地区など、これまで買い物や通院で通っていた利便性の良い場所に住民の合意の上で移転することです。これなら住民の皆さんの抵抗感も少なくて済みます
ただし一方で、林氏は、「集団移転は、あくまでも住民のために、そして住民の合意の上で行われるべきもの。コストを減らすことを目的として集団移転を進めるとしたら、それは大きな間違いだ」と釘を刺すことも忘れなかった
気づき:本文から得られた示唆、抽象化された気づき
行動:気づきで得られた知見を基に、どうすればいいのかという具体的なアクション・仮説
・これから人口が減らない自治体はほとんどありえない。東京都ですら人口減少はある。
・今自分が住んでいる自治体は「夕張になりそうなのか」「なるとしたらいつ夕張になるのか」ということを知らないといけない。
・危機管理の問題として、どのような数値がどうなるとヤバイというラインを決めて、それをモニタリングし、ラインを超える時にアラートを出して対応ができるような仕組みづくりが大切だと感じた。