Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー38冊目】サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている  西内 啓

本文より。

 
仲間と共に愚痴をビールで胃袋に流し込んで明日からも頑張ろうと誓う、そんな人生も素敵なのですが、そろそろこの何度も繰り返した議論に終止符を打っても良いとは思いませんか?
 

 

サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)

サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている (マイナビ新書)

 

 

 
 

 なぜいくら頑張っても給与が上がらないのか?、どうすれば楽して出世できるのか、など5つのサラリーマンの疑問について、経済学・心理学などの学問的アプローチから答えを探る1冊。

 

 それぞれにそれらしい回答を出している。給与や出世など個人的な関心から、会社の人間関係をどうすればうまく回せるようになるか、というようなマネジメントの内容や、どうすれば家庭環境はうまくいくかというものまで意外と範囲は広い。

 
 

知恵の蓄積、複数の知恵の掛け合わせ

 筆者の記述の中で、知的労働の重要性・可能性の高さについて示唆している部分がある。

 

イデアは無制限に複製することも、無制限にストックすることも可能です。また、素晴らしいアイデアを1つだけ用いるよりも、複数の素晴らしいアイデアをさらに組み合わせた方がより生産性の高い事業となる可能性も高まります。それに、多くのアイデアをストックしたり使い続けたりすれば、それだけ新しいアイデアが生まれる可能性が高くなるでしょう。  

会社や社会といった集団でもそうですし、個人としても、仕事に活きる知識は身につければ身につけるだけ、新しい知識を習得する速度もあがり、仕事の効率だって加速していくことでしょう。  このような内生的経済成長理論に基づくと、日本が敗戦というハンデにも関わらず明治維新から百年ほどで世界トップレベルの経済大国になったのも、当時としては異例の知恵のストックの大きさによるものだったと言われています。

 

 

 特に他人と知識の共有・掛け合わせをした際のシナジーや、知識習得時間を短縮出来ることについて、共感を持った。例えば、自分一人で学べる経験や知識は1人分を超えることはない。仕事において、いくら残業しようが、せいぜい2人分になる程度だ。しかし、自分で得た知識を他人へ伝えたり、他人から教えてもらうことで、自分の中に蓄積される知識は1人分を軽く超える。さらに、自分で経験するよりも圧倒的に短い時間で知識を得られる可能性がある。

 

 このような効果を得るために、自ら知識をきちんと身につけ、他人と共有する姿勢を持ち、常に他人も同様の行動が出来る環境に身を置き続けることが肝要だと述べている。

 

新しいアイデアによってみなさんの人生における収益性を上げるために重要なことは2点です。  1つめは個人として、きちんとした知識を常に身につけ、それを周りと共有する姿勢を持ち続けること。きちんとした学問というのは歴史的なレベルで頭の良い人達が積み重ねた知恵の宝庫です。それに、自分と異なる業種や職種で実績を出す友人の話などにも思わぬアイデアが隠されていることでしょう。そしてあなたが蓄えた知恵を周りと共有すれば、思わぬ化学反応が起こって新しいアイデアが生まれるかもしれません     

2つめは、このような知識やアイデアが十分にストックされたり、使われたりしている場に居続けるということ。のんびりした田舎暮らしは素敵なものですが、シリコンバレーシリコンバレーとして大きな成長を成し遂げたのも、そこらじゅうにITの専門家や科学者がいて、自然と交流するうちに膨大なアイデアがストックされ、利用され、化学反応を起こしたからだと言われています。

 

 

友好的な家族関係を築くために

家庭内の人間関係について、心理学的なアプローチを用いて、人間関係が存続する・ないしはうまくいく方法について記述している。その中で推奨されている行動について以下抜粋する。

 
 
・円満な家庭は仕事の成功にも繋がる貴重な財産です。
・ケンカをする時も人格攻撃はやめましょう。
・毎日お互いの予定を確認して、雑談して、感謝を言葉にしましょう。
・たまに手を繋いでデートしましょう。
・相手の話を深く聞こうとする姿勢を常に見せましょう。
・たまたま話を聞けない理由がある時はその事情を正直に謝りましょう。
・ケンカになりそうな時は順番に話を聴き合うゲームを取り入れましょう。
・ネガティブな言葉の5倍ポジティブな言葉をかけ合いましょう。
・性格は生まれつきのものではなく日々の習慣ですぐに変わるものです。
・毎日寝る前に3つその日あった良かったことを思い出してメモしましょう。
・子供の問題を解決したいならまず夫婦関係を幸せにしましょう。

 

 前提としてあるのは、パートナーであろうと他人であるということ、子供であろうと信頼関係が築けないと言うことは聞いてくれないという当たり前のこと。家族だから、という理由で人間関係における基本的なルール、相手を尊重する、感情的に怒らない、などを愚直にやっていくしか無いのだということ。

 
 

学問的な答えはわかった。でもどうやって実行するかは別問題

 本当にこれに尽きると思っている。

 

 学問的な整理や対応策について理解は出来るが、それら対応策を実際に実行できるかどうかは本人の力にかかっている。究極的なことを言えば、問題を抱えているように見えるサラリーマンも実は自分で問題を解決したくないだけだったりする。答えは何となくわかっているけど、対応策を実行するのが面倒くさくてやっていないだけだったりする。

 

 これらは個人単位で考えるとモチベーションの理論で補完されたり、組織の単位で考えると組織マネジメントの理論で補完されたりする。それらについては又の機会で学ぶことにして、ひとまず学問的に答えを出してくれているということを精神安定剤として今後も順調に問題に取り組んでいこうと思う。

 

 

それでは。