Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー35冊目】イチロー89の言葉 児玉 光雄

 

イチロー89の言葉 (知的生きかた文庫)

イチロー89の言葉 (知的生きかた文庫)

 

 

本文より。

他のほとんどのバッターは、練習ケージでの練習だけが、準備のすべてだと錯覚している。本当の準備とは、道具の扱いから健康管理まで、日々やることすべてを言う。仕事でも趣味でも、普段のすべてが本番につながると、とらえよう。     今日したことが、本番に影響すると意識する

 

どんなもの?

 プロスポーツ選手のメンタルカウンセラーを行っている筆者が、イチローの言葉を通じて、ビジネスマンの仕事の取り組み方やメンタルの持ちようを述べている。良い準備の方法、プレッシャーを力に変える、などイチローがインタビューで語っていることを筆者が解説し、一般人はどこから学べばいいのかを記載している。

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 私が気になったのは、「準備の大切さ」、「プレッシャーとの付き合い方」、「初心を忘れない」というキーワードである。それぞれ気になった本文を抜粋する。

要するに、〝準備〟というのは、 言い訳の材料となりうるものを、 排除していく、そのために考えうるすべてのことを、 こなしていくということですね

同じルーティンワークをしていても、成長できる人とできない人の差は、「結果に違いをもたらすカギに気づけるかどうか」にある。そしてまた、その「違いをもたらすカギを深く追求することを、やりがいに思っているかどうか」にある

練習をやって、それが違うということがわかることと、 教えてもらってわかったような気持ちになるのとでは、 まったく意味が違うと思うんですね。 それが自分でやって得たものであれば、 そのあとどれだけでも可能性が広がる。 でも頭で理解しただけ、先生に教わっただけのものであれば、 そこに深みみたいなものは出てこないですよ

プレッシャーをエネルギーに変えるには、プレッシャーを減らすという発想をするのではなく、より高いレベルのプレッシャーをかけるという発想をして仕事と格闘すれば、いい効果が高い。  なぜなら、普段どおりでいられなくなるくらいの緊迫感が、私たちの知覚レベルを最高に高め、ハイレベルの危機管理意識を目覚めさせるからだ

どこまで過大なプレッシャーを抱え込めるか、可能なかぎりプレッシャーを抱えて本番に楽しんで挑もう。  それを繰り返していくうちに、逆にプレッシャーをかけなければ、本当の力が発揮できないことに気づくようになる

「『初心を忘れるな』って言いますけど、やっぱり大事なことなんですよ、  初心を忘れないことっていうのは。  でもやっぱり、初心でプレーしてはいけないんです。  ちゃんと最初のときの気持ちは覚えているけど、成長した自分がそこにいて、その気持ちでプレーしなくてはいけないんで

ビジネスパーソンだって同じ危険を抱えている。毎日、お客さんに会う、毎日、経理上の問題を解決する、毎日、原稿と向き合う……。経験を活かしつつ初心を忘れないことで、仕事はますます極められる

 

 

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 特に上記の「プレッシャーとの付き合い方」についてである。最近の働き方のニュースを見ていると、「プレッシャーに潰される」という事例が大きく取り上げられ、「プレッシャーと付き合う」という発想は希薄なような気がする。
 
 上記の記事も「頑張りすぎない」という点に力点が置かれている。ただ、この本にも書かれているように、頑張りすぎないだけでは片手落ちだと私は考える。正しくは、「プレッシャーを感じつつも、自分はどこまで出来るかを試し、身体・精神的な問題を抱え層になった場合は適切に休む」ということだと思う。初めから諦めていては出来ることも出来ないと考えるからだ。
 
 留意しないといけないことは為末氏も語っていたように、「登る山を間違えないこと」だろう。
 
 目的を持って行動することは大切だが、その目的と今自分が頑張っている方法は果たしてリンクしているだろうか。もっと効果的な方法はないだろうかと常に模索することだ。模索する中で、「今自分がやっていることより効果的な方法がある」「今自分が感じているプレッシャーは不要なものだ」と感じることができれば、上手くプレッシャーによるストレスを転嫁する・昇華することができるのではないだろうか。