【読後レビュー13冊目】「できる人」という幻想 4つの強迫観念を乗り越える 常見 陽平
「できる人」という幻想―4つの強迫観念を乗り越える (NHK出版新書 433)
- 作者: 常見陽平
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/04/09
- メディア: 新書
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本文より。
「頑張るのに疲れた」なんて言うと、いかにも「負け組」のような、やる気がなく「ゆるい」者のように思われてしまうかもしれない。 だが、日本人が思わず口にしてしまう「頑張れ」という言葉は、置かれている環境によっては「暴力」になってしまう
A 本の要約:
- どんなもの?
働き方コンサル、現千葉商科大学国際教養学部講師である筆者が、現代の若者を覆う4つの強迫観念について分析し、「頑張る」による若者の疲弊、「出来る人にならなければ」という強迫観念について警鐘を鳴らすもの。 - 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
現代の若者の働き方・キャリアを語る上で再三登場する4つのキーワード、即戦力、グローバル、コミュニケーション能力、起業について、その言葉が出てきた背景分析、実現可能性などを考察し、「若者に責任をなげっぱなしにするな」ということを語っている。
基本的には世代間論であり、昔に比べて高度情報化する社会で求められるスキルは際限なく上がる。(インフレ化と筆者は言う)その中で若者へ「頑張れ」と連呼し、期待「だけ」をする社会は果たして正しい社会だろうかという問題提起をしている。実態としてカネやコネがなければ成長も飛躍も出来ない社会の中で、頑張る「だけ」で勝負させるのは若者の疲弊を進めるだけ、と断言している。 - 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
疑問とは少し違うが、この本は「頑張れ」に疲れる若者という問題提起にはなるが、ではどうするかという点から見ると別冊にてという形になりそうだ。 - 新しいと思った3点
・4つの強迫観念全て共通して、閉塞した日本経済からの英雄としてザッカーバーグらの一部の天才が持ち上げられ、その結果生まれたものと言う特性がある。
・入社式の訓示を時系列に紐解く、という手法で若者のキャリア論に関してホットなキーワードを分析していること。入社式の訓示にはトップ層が今の社員に足りないものを新人に語るものだからだ。
・4つの強迫観念について「本当にそれが必要ですか?」「誰がそれできるの?」という点から批判的に捉えて分析を開始している。
B 自分の中での気付き:
- この本を通して自分の生活を振り返ると?
あとがきの文章が震える。
「あえて言おう。何も考えない努力は無意味である。もはや努力しても成果につながらない時代と言われる。平成とは、じわじわと環境が苦しくなり、社会のルールが大きく変わった時代である。いや、だからこそ「努力しろ」と煽られるのだが。 何も考えない努力は無駄である。いま求められているのは、「努力のデザイン」、「経験の意味づけ」なのだ」
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
- この内容を使える場面は?
努力することは前提となってしまう。努力は続けられるようにしないと。また、キャリア形成として今の仕事の意味付けをしていかないといけないと思うし、資格取得やその他の勉強も意味づけを出来るようにしないといけないと感じた。