Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー12冊目】なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略 冨山 和彦

 

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)

なぜローカル経済から日本は甦るのか (PHP新書)

 

 

本文より。

異なる経済特性を持つ産業領域AとBがあったとすると、このAとBを両方ともうまく回す統一の経済学的理論は存在し得ない。グローバルな経済圏Gとローカルな経済圏Lの経済特性は、現実問題として大きく異なるのである。

 

 
A 本の要約:
  1. どんなもの?
    経営コンサルタントの筆者が、少子高齢化による「仕事量・売上は変わらない(むしろ減っている)のに供給力不足」という日本の状況について、G(グローバル企業)とL(ローカル=経済圏が地方に限定される企業)の2つに分けて分析を行っている。日本企業を分類するとG、Lの2つに分けることが出来る。グローバルな経済圏を持つサービスを提供する企業と、特定地方にいる人向けにサービスを提供する企業だ。前者は電機機械・医療機器・製薬など。後者は交通・飲食・社会福祉サービスが当たる。

  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
    比較的詳細な対策、具体的な政策について記載があったこと。Gの企業・Lの企業への現状分析から始まり、それぞれの目指す姿、それに対する課題と解決策について詳細に述べている。



  3. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
    Gの企業、Lの企業に対する改善策の記載があるが、総花的というか筆者の主観で挙げられている感覚はある。主張したい部分を幾つか述べているという印象。



  4. 新しいと思った3点
    ・Gの企業とLの企業の
    特性として、前者は知識集約産業で専門性の高い人材か一部のトップ層の人材がいる。後者はGDPや雇用の約7割を占めており、地方ごとに商圏が別れているので他地域の類似企業と競合することはない。重要なのはGの企業が儲かればLの企業が儲かる、は過去より薄くなってきているということだ。これまでトリクルダウンされるとして、Gの企業への優遇策などが製作的に行われたが、そのダウン先は日本国内ではなく海外の組み立て工場や安い労働力を提供できる外国へ移ってしまった。その結果、雇用やGDPの7割を占めるLの企業の収入力改善には効果がなかった。
    ・Gの企業とLの企業へのサポートはそれぞれ違う。Gはグローバルで勝ち抜くための戦略を練らないといけないし、Lは存在する経済圏の中でいかに存在感をあげられるか、地域での集約化を進められるかが鍵になる。
    ・G向けの人材、L向けの人材が存在し、それぞれへの教育も違いがある。


B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
    Gの企業とLの企業で、働く人のモチベーションが異なると感じる。Gは「世界に飛躍」かも知れないし、「自己改革」かもしれない。一方でLは「地方の人への貢献」かもしれないし、「地元でのトップ」かもしれない。


C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
    自分の今の仕事は完全にLで、緩やかな撤退と集約が必要とある。自治体としてみるとGとL両方あるなと。G的な分野としては産業振興など、L的な分野は建設や福祉。それらを分けて考えることが必要だと感じた。また、両方の分野として、働く側の生産性の向上が必要だと感じる。