Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー11冊目】「読まなくてもいい本」の読書案内 __知の最前線を5日間で探検する 橘玲

 

 

本文より。

そこで本書では、まったく新しい読書術を提案したい。問題は本の数が多すぎることにあるのだから、まずは選択肢をばっさり削ってしまえばいいのだ。 

 

 
A 本の要約:
  1. どんなもの?
    元宝島社の編集者で、投資論など数々の著作を持つ筆者が、学問的な分野の本で「読まなくてもいい=学問として古くなり淘汰された議論や思想」について説明している。大きく分けて5つの分野でのパラダイムが起きたことで、様々な古い学問は不要になったと筆者は述べる。その5つの分野とは、①複雑系②進化論③ゲーム理論脳科学功利主義である。何かを学ぶ時、原典にあたることは重要だが、①〜⑤の学問分野に関しては最新の理論に当たる方がいい。逆言うとこれらの分野が活性化する前の他の学問分野についても陳腐化の可能性があるということ。


  2. 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
    筆者の知識量とそれを端的に説明する文章力が凄まじい。上記の①〜⑤についての現在までの変遷を追うだけでも相当な知識と下調べが必要だとわかる。そして決して平易な言葉ではないが、「なぜ」「なのでこうなる」といういわゆる「why」「so what」のある文章で、頭の中で理解が進むような内容になっている。

  3. 技術や手法のキモはどこ?
    筆者がもつ知識を近年爆発的に伸びている学問分野に限定して、その分野の変遷とその爆発的な伸びによって淘汰された・されるであろう学問分野についての示唆がある。


  4. 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
    筆者がこのような知識を持つに至った経緯について知りたいと思った。膨大な分野の文献や知識の凝縮がある本に仕上がっているのは筆者の情報編集能力の賜物だろう。ここまでの内容をこれだけ整理して語れる、筆者の知識がどのように出来上がったのか。


  5. 新しいと思った3点
    ・最近の学問分野の爆発的伸びに着目し、「読まなくてもいい本」を示唆するという手法。読むべき本というのはいつの時代もあり、勧められるけどそれはいつの時代も有用であるとは限らない。理系分野は新たな研究ですぐに古い分野は淘汰されるが人文学系や社会科学系はそれが少ない。過去の議論は新たな技術や研究の登場で一気に陳腐化する。
    ・陳腐化しない背景には、その分野にいる専門家たちの既得権がある。
    ・ここまで広範囲の分野を詳細に解説できる人がいるということにハッとした。

B 自分の中での気付き:
  1. この本を通して自分の生活を振り返ると?
    文章の書き方について参考にすべき点があると感じた。とにかく筆者の文章には結論を書くために最短経路で言葉を並べている印象。不要な部分や冗長なところがない。
    文章の書き方だけでなく、仕事上で説明する際などにも参考になると感じた。

C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
  1. この内容を使える場面は?
  何かを学ぶ際は「なぜ」「なのでこうなる」を意識する。