【読後レビュー9冊目】新・観光立国論 デービットアトキンソン
本文より。
外国人観光客という名の「短期移民」は、移民政策のようなデメリットがなく、GDPを上げる効果が期待できるということなのです。ただし、観光を産業として位置づけるのですから、観光客がお金を落とす機会をもっと用意すること、および、観光客数だけに注目するのではなく、お金をたくさん使ってくれる人々をより多く呼び込む必要があることに注意しなければなりません。
A 本の要約:
- どんなもの?
文化財保護の会社を運営するイギリス人の分析。日本のGDP増加には人口増加が必要という出発点から、移民受け入れのデメリットを考えると、観光人口を増やすことで国内消費を増やすことが第一選択肢であるという指摘。 - 今まで読んだ本と比べてどこがすごい?
国内消費を増やすという視点で観光を見直している。「おもてなし」ではお金は落としてくれない。それは経営学用語で言う「衛生要因」であるだけで、デメリットを消す程度のもの。メリットを訴えるには、筆者の挙げる四要素が必要である。 - 技術や手法のキモはどこ?
筆者の指摘は古来からの観光がやってきた「お金を払わせないおもてなし」という既成概念を壊すもの。その観光ではGDP成長や日本の経済成長はない。オプションをつける・オプションで特別のサービスを行うことで、追加のお金をとることもサービスの方法としてはある。 - 議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)
筆者の考えを実現しようと思うと、パラダイムシフトとも言えるほどの考え方の転換が必要。それを現場レベルまで落とし込むには中々な時間と軋轢があるのではないかと想像した。 - 新しいと思った3点
・いくつかの観光の専門書などによると、「観光立国」には4つの条件が必要不可欠だと言われています。その4条件とは「気候」「自然」「文化」「食事」です。やはりこれも「これからやる」ということが重要であり、それをふまえた指摘だということをご理解ください。
・弱いという指摘を受けたら、まずは発想を転換して、力を入れるだけの価値があるということを理解したうえで、国を挙げて観光に対してやる気をもってもらうことが大切なのです。
・この底が見えない魅力というのは、とどのつまり「総合力」であり、マンホールや自動販売機で形成できるものではありません。まずベースに「気候」「自然」「文化」「食事」という大前提を整備したうえで、そこにいくつもの「も」を積み上げていく。もちろん、そのなかにマンホールがあってもいいし、自動販売機があってもいい。
B 自分の中での気付き:
- この本を通して自分の生活を振り返ると?
今、日本の「おもてなし」にもっとも足りないのは、この「お金を落としてもらうだけの高品質なサービス」という発想だと私は思っています。では、ここで言う高品質とは何かということになると、やはり「客」である外国人の言葉に耳を傾けることが大切になってきます。
→この、お金を落としてもらうための高品質なサービスが必要。どんなサービスが求められているか。相手を想定して考えること。Innerの分析も必要だけども(どんなことを自分はできるか)、相手に合わせて、どんな人が来るのか・その人はどんな気持ちで日本に来るのかを分析する必要がある。
これらは自分の仕事の中でも取り入れられることができるんじゃないかと考えた。
C 気づいた結果として起こそうと思う行動:
- この内容を使える場面は?
何を相手は求めているのか、何を心配しているのか、一方で自分たちのルールではどこまでは出来てどこまでは出来ないのか、そもそも相手のことを考えるとそれをすることが適当であるのか、ということを考えながら仕事ができると思う。