Sierから地方公務員へ転じた20代男の戯言

Sier勤務から地方公務員へのジョブチェンジを経て今に至る20代男が、普段考えていること・読んだ本のレビュー等を書き連ねていくブログです。

【読後レビュー34冊目】TIME HACKS! 小山 龍介

 
本文より。
 
1日は、確かに24時間しかありません。これはみな平等だと思っています。しかしこれはニュートン時間。実際には、この24時間をものすごい濃度で過ごしている人もいれば、無為に過ごしている人もいる。この時間の濃度や効率を考えると、24時間は、2倍にも3倍にも格差が出てくるはずです。

どんなもの?

 ライフハック本の先駆け的な1冊。時間管理の方法を述べているのだが、基本的には「時間短縮=やる気の向上、維持」であるということを述べている。自分のやる気を向上・維持するために環境をコントロールすること、自分の気持ちを高める方法について述べられている。

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 筆者の経験から本書を記述していると思われるのだが、だからこそかなり細かく実体験に基づいているであろうレベルまで具体的に記述がある。どうすれば時間短縮が出来るか、自分のやる気を出せるか、ということに踏み込んでいる。

 
 

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 筆者の経験から書いているということは一般性があるかと言う点では疑問が残るということだ。だた、筆者は文中でこのようにも書いている。

ここでご紹介したのはあくまで、私自身のパターン。みなさん個人個人で、さまざまなパターンがあると思います。それをぜひ、パターン表にして机の目に見えるところに貼ってみてください。  パターンを作るときのポイントは、パターン化する部分としない部分を分けておくことです。あまりにパターン化しすぎると、融通がきかなくなりますし、パターンから外れることが常態化してしまうことにもつながります。多少「いい加減」にやっていくのが長続きのコツ 

 

 結局は筆者のやり方を参考にしながら、自分にあった方法を取り入れていくしかないということだ。

 

新しいと思った3点

・毎週月曜日の午前中は1週間のスケジューリングをする。この時間の取り組み方で1週間の忙しさ・慌ただしさが変わる。

・人が一日の中で本当に集中できるのは2時間程度。その時間を一日の中のどこに持っていくか。その時間にやってはいけないのは事務的な経費計算・形式的な打ち合わせ・ネットサーフィンの3つ。

・集中力を爆発的に発揮する、クリエイティブな作業をするためには何もやらない時間を敢えてもうけることが大切。

 
 

気づいた結果として起こそうと思う行動:

この内容を使える場面は?

 月曜日の午前中は1週間のスケジューリングの時間というのは取り入れていこうと思う。細かな時間単位・タスク単位のスケジューリングが出来るわけではないだろうから、「電算を取り組む」「訪問・記録を頑張る」「書類作成をする」などの単位で午前・午後くらいでざっくりのスケジュールを立てればいいと感じた。

 

【読後レビュー33冊目】だから、ぼくは農家をスターにする 『食べる通信』の挑戦 高橋 博之

 

だから、ぼくは農家をスターにする 「食べる通信」の挑戦

だから、ぼくは農家をスターにする 「食べる通信」の挑戦

 

 

本文より。
 

今、都会に住む人の多くは、仕事でのエンドユーザーや受益者の顔が見えずに、やりがいや生きがいを感じられなくなっている。稼ぎは良くても、「なんだかつまらない」、「何かが足りない」と感じながら生きている人が多い。  よく考えれば、地球の裏側の誰かの不幸のうえに自分の仕事が成り立っていることに気づくこともある。しかし、家族を養っていかなければならないと、そうした事実に目を向けず、やり過ごしている。実際、その仕事のサービスで助かる人、喜ぶ人もいる。しかし、どこかで後ろめたさも感じている人は少なくない。

 

本の要約:

どんなもの?

 東北で「食べる通信」という作り手のインタビューの乗った「食べ物付き」定期購読誌を創刊した筆者が、つくり手と消費者をつなげる活動に至った経緯ややっていく中での苦悩を描いたもの。

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 筆者は食を通じて、今の日本人にとっての「足りない何か」を埋めるためのこの活動を行っている。よくある言葉で言うのであれば、「精神的な充足」であったり、「やりがい・つながり」であったり、「自分のやりたいこと」だったり。2枚めの名刺を持つという言葉は昔からあるが、金銭的な充実とはまた別の、精神的な充実を・満足を得るために行動する人がいる。まだ見ぬ誰かに「助かった」「ありがとう」と言われることをやりたいと思っている人がいる。これを農家と消費者という両者に当てはめたのが「食べる通信」だ。

 簡単に食べる通信の内容を紹介すると、

スーパーなどで購入できる品は、そのほとんどが、調理しやすいようカットや下処理がなされ、きれいにパックされたものだ。そうなると工業製品と変わりないモノになってしまう。モノとして左から右に流してきた食材を、〝命〟として生産者から消費者にリレーしたいと、私は考えていた。  だからこそ、消費者から見えなくなってしまった食べものの裏側やプロセスを見せたいと『東北食べる通信』を始めた。

 スタートはこのような動機だった。これを見ると、生産者と消費者をつなげる、というレイヤーでの発想だったと考えられる。その後、筆者はさらに考えを進めている。

 

『東北食べる通信』は、毎月異なる生産者を取り上げる定期購読サービスだ。読者は東北各地の生産者の人生を知り、その食べ物をいただき、交流を通じて月に一度食と向き合うことができる。 私たちは、これを生産者と消費者の「お見合いの場」と位置づけ、「これは」という人を見つけたら、「結婚」してほしいと思っている。本当に結婚するという意味ではない。ひとりの農家、漁師と、より継続的な関係性を築いてもらいたいのだ

そう考えて、私たちが興味を持ったのが、CSA(Community Supported Agriculture)だ。直訳すれば「コミュニティに支えられる農業」。生産者がそれぞれ会員ネットワークを持つ生産物流通のしくみだ

日本ではまだ聞き慣れない言葉であるCSAは、アメリカではすでに一般へと広まっている。  その始まりは、『CSA地域支援型農業の可能性─アメリカ版地産地消の成果』(家の光協会)によれば、1985年にアメリカ・マサチューセッツ州の「インディアンラインファーム」で〝経費のシェアと収穫のシェア〟という概念を理解してもらうためにプロジェクトが立ち上がり、「CSA」と名付けられたこととある。翌年、会員に初めて収穫物がシェアされ、その後1990年代からネットワーク化されて、一気に全米へと広まっていったのだ

また、ヨーロッパでもCSAは普及している。フランスではAMAP(Associations pour le Maintien de l'Agriculture Paysanne)、イタリアではGAS(Gruppo di acquisto solidale)と名前は変わるが、地域の生産者と消費者がグループとなり、有機作物や環境負荷の少ないものを生産し、それを共同購入する市民グループの活動が1990年代から始まり、広がりを見せている

こまで欧米で広がってきたCSAの中身に触れてきたが、私が目指すのはより生産者と消費者の「関係性」を重視したものだ。日本でのCSAは、新鮮で安心な食材を提供する手段としてだけでなく、都市と地方を有機的につなげていく手段にしたいと考えた。

 

 

 

ここまで読むと、一種の地域コミュニティ論のようにも思える。どのように地域コミュニティの形成を行っていくか、という課題に、都市と地方の融合の方法として一石を投じるのではないだろうか。

 
 

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 正直、筆者が行っているような活動はまだまだアーリーアダプターの時期に当たるものだと考えられる。また筆者も文中で語っているように、人数を多くすればいいものではない。その分コミュニティの密度が減少するからだ。こういった活動全般に言えるのだが、どうやって継続的に顧客を得ていくか。誰を取り込んでいくのかというのが今後のマーケティング的な課題だと思う。

 
 

新しいと思った3点

消費社会は、自分ごと化しにくい社会でもあるのだ。課題解決すら買ってしまう。たとえば、親の介護や子育ても、今や貨幣でサービスを買っている。もはや消費社会で、貨幣で買えないものがないと言ってもいいだろう。何でも貨幣でサービスを購入することで課題解決していくと、周りにある自然や他人と自分の命や課題がどう関わってるのかが見えづらくなってしまう。お金で解決する暮らしは確かに快適で便利だが、当事者意識を持てず、どうしても他人ごとになってしまう
世の中へのインパクトは「全国展開」の4文字がブレークスルーとなった。  つくる人と食べる人の乖離が生み出す課題は、東北に限らず全国共通だ。北は北海道から南は沖縄まで、各地で『食べる通信』が生まれたらどうなるだろう。 『東北食べる通信』は1500人で打ち止めとするが、全国各地で『食べる通信』が横に展開していけば、その数に応じて地域ごとにコミュニティが生まれ、読者の数は増えていく。新しく生み出したコミュニティの価値を壊すことなく、世の中を変えるインパクトを出すことができるかもしれない。そう考えたのだ
ひとりの会員がこう語った。 「ミーティングに参加していて、CSAとは、生産者がひとりで抱えてきたたくさんの課題を、私たち食べ手と共に一緒に悩み・考え・行動していくことなのではと感じました」  生産者の抱える問題を共有することで、会員が取り組めることを具体化したのである
 
 
 

【読後レビュー32冊目】「農業」という生き方 ど素人からの就農入門<「農業」という生き方̀ 永峰 英太郎

農業という現場で、さらに言葉は悪いが、その底辺で頑張っている彼は、今の農業の問題点を数多く見知り、それがあるがために、さまざまな壁にも直面している。現在の日本の農業の真実を伝えるためには、彼のような存在を取り上げることこそ必要なのではないかと思ったのだ

どんなもの?

 新規就農をした農家のインタビューを通じて、筆者は農家独立までの王道を3パターンに分類している。

 

①自治体の支援制度を利用する

②自治体の支援制度を利用し、研修施設で研修を行う

農業生産法人で修行を積む

 

さらに、新規就農者から見た日本の農業の実情について、6つの問いを立てて論じている。

 

その1 「農地を借りるのが難しい」本当の理由とは?

その2 何を基準に作目を決めるか?

その3 「有機農業は食べていけない」は本当か?

その4 農協経由の販売はもう古い?

その5 儲かる農業のキーワードは「差別化」にあり

その6 独立には莫大な自己資金が必要?

 

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 新規就農者のインタビューを通じて、悪い例と良い例両方共述べられているのが目を引く。この手のインタビューだと、成功例だけ上げていることが多い。

しかし、それぞれダメだった独立例について述べることで、全ての就農希望者が成功しているわけではないという現実を語っている。例えば「受身の姿勢ではダメだ」という、一般企業でも言われている当たり前のことをしっかり指摘している。

 何故か農業分野では一般企業に就労していると当たり前に言われている仕事に向けての心がけが言われないことがある。このあたりの現実の指摘は夢を見させすぎないという点で重要だと感じる。

 

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 農業分野は今まで補助金漬けであったことが問題なのだろう、失敗が許されないというか、失敗とは何かという議論がされていない印象を受ける。

 その理由としては、そもそも失敗・成功を議論しなくても困らない程度しか困っていない、また補助金をもらうことが主眼になっているため、言われたとおりの生産をしていけばいいという意識があるのかもしれない。

 同じように、環境が特殊でありムラ的な文化が醸成されており、その文化に反するようなやり方が難しいという問題もある。

 
 

新しいと思った3点

あえて「有機農業」を選択しない農家があることも触れておきたい。京都の茶農家・喜多章浩さんも、その一人だ。その理由は、単純明快だ。「美味しくないから」だ。 「美味しい茶葉を作っても、虫に葉っぱを食べられてしまうんです。完全な無農薬だと作りにくいんです」と、その理由を話す。  

ブランド化、加工品販売など、さまざまな取り組みで差別化を図り、売上げを伸ばす努力をしている新規就農者だが、もう一つ、目立つ取り組みがある。マスコミの徹底活用だ(中略)。先の宮城県のある農家は、こう話す。 「競合他社がひしめくなかで『いいものを作っていれば、きっとわかってもらえる』という考えは、甘いと思う。自分ができることを徹底的に考え、それを実行していく姿勢が、生き残るためには必須なのではないでしょうか。

身の丈に合った農業」をすることに力点を置く、新規就農者も多い。新規就農者のなかには、1年目から数百万円の売上げを目指そうとする人も少なくない。なかには、先輩農家の売上げを見て「自分もそのぐらい」と無謀な売上げ目標を立て、結果、経営規模を大きくしてしまうケースもある。それでは、いくら資金があっても足りないし、リスクも大きい。 
 
 

自分の中での気付き:

この本を通して自分の生活を振り返ると?

 主には就農に関わることなので、直接今の生活に関わることは少なかった。但し、新規営農を考えるのであれば、就農の王道3パターンが知れたのは有意義だったと感じる。

 一方で、農業にしても普通の仕事にしても通じる仕事術のような物があることは読み取れた。なるべく標準化して誰でも作れるようにする、それぞれの作物に対してどの作業は欠かせなくて、どれは手を抜いても問題ないか。これらは今の仕事にも通じる部分や場面が多いと感じる。

 

気づいた結果として起こそうと思う行動:

この内容を使える場面は?

 多くあるわけではない。農家は農家で大変であることを知り、簡単に田舎暮らし・就農という言葉に惑わされて田舎に行くような若者が増えないことを祈る。

 

【読後レビュー31冊目】スマホ時代のタスク管理「超」入門 佐々木 正悟, 大橋 悦夫

 

クラウド時代に、タスクをデジタルに記録していくことで「いつでも、どこでも、完全に正しいリスト」を持つことが可能になります。これはクラウド上のリストをスマホで見るというスタイルが確立するまでは、不可能だったことです。(中略) 「いつでも、どこでも、完全に正しいリスト」があってはじめて、どうでもよい仕事から解放され、もっとストレスがなくなった状態で、すべてのエネルギーを本当にやりたいことに集中するという行動スタイルが可能になるのです

 

どんなもの?

 仕事、プライベート限らず「タスク管理」することでストレスの少ない生活が出来ると本書は説いている。タスク管理のメリットとして以下の7つを上げている。

 

① タスク管理を行えば、事前に準備ができるので人から好かれるようになり、自信もつく  ② タスク管理を行えば、見通しが立つので生産性が向上してやる気もわく  ③ タスク管理を行えば、プロジェクトの管理ができる  ④ タスク管理を行えば、繰り返し作業の管理ができる  ⑤ タスク管理を行えば、悪癖を絶ち、よい習慣を形成できる  ⑥ タスク管理を行えば、夢や目標を管理できる  ⑦ タスク管理を行えば、ログが残るからタスクリストをより容易に作れるようになる。

 

 その上で、タスク管理を行う際の手法やアプリの紹介を行い、タスク管理の考え方であるGTD(Getting Things Done)についても触れられている。

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 筆者はタスク管理のために、タスクリストとチェックリストの作成が必須であると述べている。タスクリストはやることをどんどん書き込んでいくリスト。チェックリストは限られた事柄を達成するために潰すべき事柄がまとめられているリスト。それぞれオープンリストとクローズドリストと呼ばれている。それらを使って、必要なタスクを洗い出し、もれなく潰していくというやり方を推奨している。

 

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 発売日が2013年とのことで、この頃と比べても最近はアプリやWEBサービスの進歩が著しい。本書で紹介していなかったが、いくつか有用であると私が考えるアプリを幾つか載せておく。(広告とは無縁です)

WunderList (タスクリスト)

Wunderlist | To-do リスト、リマインダー、タスク管理 - App of the Year!

 

マンモスプロジェクト (プロジェクト方式のタスクリスト)

マンモスプロジェクト - はるかに早く、スムースに。進化したプロジェクト体験へ

 

タスクを視覚化して並べていくなどできる。

 

 

Workflowly (タスクリスト・チェックリスト)

WorkFlowy - Organize your brain.

タスクを階層化して洗い出す場合に有用。さらに終わったものにはワンクリックで取り消し線を付け削除、とする操作ができる。ただ、操作方法が独特なのでなれる必要がある。

 
 

新しいと思った3点

・チェックリストを活用する意味について。

 

「仕事の質」というのは「期限内に確実にやり遂げること」と「絶対にやってはならないこと」を把握して実現することで決まります。人がやってほしいことを時間をかけて成し遂げ、人が絶対にやってほしくないことをスピーディにこなしても「仕事の質が上がった」とは誰もいわないでしょう。  したがって、  ・期限内に成し遂げることが何であるかを確実に把握する  ・やってはいけないことを忘れない  この2点は必須です。

重要なことは一気呵成に全部吐き出すことです。整理は直感的に簡単にやれます。そこが紙と違うところです。やれるかどうかとか締切に間に合うかどうかなど考えずにとにかく書き出す。スピーディであればあるほどいいと思ってください。  20分くらい続けて書き出せば、書くことがだいたい尽きるものです。

注意点があります。  大量のタスクを吐き出して、「これを全部やれれば! 私の人生は最高なのに!」と考えますが、それは明らかに間違った考えです。気になることややりたいことの全部を実際やることができるなどとは、誰も保証していません。全部できることが証明されているわけでもないのに、なぜできないことがあったからといって自責の念に駆られる必要があるのでしょう。やるべきことのすべてをやった上で、ほんのわずかな行動を上乗せし、その状態を持続できるような仕組みに乗れば、持続的な成長ができます。それで十分ではありません

 

 

自分の中での気付き:

この本を通して自分の生活を振り返ると?

 本書は随分前に読んだ本でところどころは採用させてもらい、今では生活の一部になっているものもある。リマインドすることやタスクの細分化などは仕事で効果を特に発揮している。改めて有用だと気づいたこととしては、タスクリストを作る際は動詞に気をつけ作業可能レベルまで細分化すること、なりたい姿・目標であるポールタスクを一つ作りどうすれば成し遂げられるかを細分化して考えていく手法、それぞれ必要だと感じた。

 

気づいた結果として起こそうと思う行動:

この内容を使える場面は?

 Somedayリストと言う考え方は使えると思った。Somedayリストとは、本書の中で

「いつかやりたい、やるべきだと思うこと」をより分けておいてリスト化

したものと記載されている。

 やりたいことというのは一瞬で思いついては消えていく。それらを記憶とつなぎとめ、発想を広げる、またはどうすれば成し遂げられるかタスクを切っていくことで、やりたいことが『できること』に近づいていく。

 

【読後レビュー30冊目】イギリス式 月収20万円で愉しく暮らす 井形慶子

 

 

 

本文より。

二〇万円という収入で住まい、食事、遊び、つき合いを充実させよう。月二〇万円という額なら、たとえ年をとっても、家族がいても、一人でも、何とか自分の力で稼いでいけると思ったからです。

 

 

本の要約:

どんなもの?

 イギリス人の生活様式を解説した本。衣食住全てにお金を支払い、お金の多寡で価値が決まるような考え方ではなく、イギリスでは別の価値観が浸透しているという話。ブランド品ではなく、素材を重視し作りの良いものを何年も使うこと。過保護なまでの医療・投薬ではなく、自然素材を使った治療法(ハーブオイルなど)を行うこと。服は10着と言われるように、旅にすぐに行けるようなお気に入りの少ない数の服しか持たないことなど。それら別の価値観によって、精神的に豊かな生活を送っているイギリス人がいるという話。

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 イギリス人の根底にあるのは、お金の多寡に惑わされない精神的に豊かな生活を送るということなのだと感じた。また、近視眼的に毎日の生活をおくるのではなく、中長期的な視点に基づいて「どうすれば結局はよりよいか」ということを考えているように感じた。そしてそれらは筆者が何度もイギリスに通い取材を続けた結果とのことで、その姿勢に感服する。

 

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 残念ながら、月収20万円は誰もが達成できる金額ではない。2016年の大卒の平均初任給は約20万円。じわじわ伸びているとの言えど、これは平均額。以下の人もいる。
 
 また、これらは税引前金額とのことで、ここから所得税、住民税等が引かれる。手取りが月額20万円を超える人数は初任給額で考えるよりも減る。ここから、月20万円で愉しく暮らすというのは親しみのわく言葉ではないだろう。
こんな時に「面白そうだ、行ってみよう」と自然に歩き出せるかどうかは、おかしな話ですがすべて靴にかかっているのです。見た目にカッコいい靴でも時間とともに足が疲れてくるようでは、これ以上歩きたくない、とすべてがおっくうになってしまいます。
暮らしの中のムダを省き節約を美徳と考える彼らが、家事にお金を支払うもう一つの理由は、ベビーシッターを雇ってでも夫婦でパーティーや旅行に出かけるなど、人生を楽しもうとする姿勢が根底にあるからです。イギリスの人々は物を買ってストレスを発散させるより、家事の負担を減らしゆったりと快適に暮らす心地良さを大切にするのです
買いすぎをセーブするために、イギリスでテスコに次ぐシェアを占める大手スーパー、セインズベリーでは、一七年前から買い物客にバーコードリーダーを渡して、予算内で買い物ができるユニークなシステムを導入しました。買い物客はこのバーコードリーダーに自分がその日に使う限度額をあらかじめ入力しておきます。  たとえば五〇〇〇円以内で買い物をしたい場合、客はその限度額をインプットしたあと、商品をカートに入れる前にそのつどバーコードリーダーで読み取らせます。それらの価格が次々と五〇〇〇円から差し引かれ、あといくら使えるか正確な金額がバーコードリーダーに表示されるのです。 
 
 

自分の中での気付き:

この本を通して自分の生活を振り返ると?

 素材を大事にするというのは大切だと感じた。それくらい、『自分が使っているものは何から出来ているのか』とじっくり考える心の余裕があるように感じる。逆に自分の生活にそれくらいの余裕があるのかと振り返ると自信はない。即物的に一時の満足が得られればいいと考えているのか、それすらも考えられていないのかはわからないけれど、処理するという考え方が頭をぐるぐる回ってしまい、立ち止まって考えるということを忘れていると感じる時がある。

 

気づいた結果として起こそうと思う行動:

この内容を使える場面は?

 心の余裕を持って生活していきたいと感じる。筆者の言いたいことからは意図がずれるが、忙しい中でも「これは何から出来ているだろう?」と考えてみて、少し立ち止まるような時間が持てるようになりたい。

 
 

【読後レビュー29冊目】もっと仕事をラクにしたい人のための 最強のデスクワーク術 オダギリ展子

 

最強のデスクワーク術 (PHPビジネス新書)

最強のデスクワーク術 (PHPビジネス新書)

 

 

本文より。

かつて私は、特許事務所で外国特許出願事務を担当していました。そこにはリスクヘッジのための事務所独自の変わった「オキテ」がたくさんありました。  面白いことに、それらの「オキテ」を遵守して業務を進めていくと本当にミスが発生しにくくなるのです。  やがて私は、ミスを未然に防ぐことが、そのミスをフォローするためのムダな時間を発生させないこと、つまり「業務の効率化」につながることに気づきました

 

 

本の要約:

どんなもの?

 事務員として様々な事業所で勤務した筆者が、それぞれの事務所で決められていた『オキテ』についてまとめたもの。それらのオキテは細かなものではあるが、事務員としての仕事上のミスを減らし、業務効率を上げており、それらのノウハウを紹介している。

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 内容としてはかなり細かい。ファイルの背表紙になんと書くか、ファイリングのルール、コピーはどうやって取れば早いかなど。事務員として働いていた筆者であれば、それらが主な業務になるので、細かく決まりごとが合ったものと想像される。以下でも触れているが、事務作業が少ない人には不要な面が多いかもしれない。ただし、書類管理が全くない仕事はないと思われるので、知識としてこのような整理方法がある、などと知っておくと有用かもしれない。

 

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 2点。まずは事務員としての作業に特化しているため、オフィスワークでない人にはあまり合致しない部分があるという点。発想系のクリエイティブな仕事や、事務作業は他の人に任せられるような役職の人であれば、不要。また、書類整理術が基本になっているので、昨今のデジタル化には対応できてい無いという点。ファイリングはPCのマイドキュメントに置き換わり、検索はフォルダからファイルまで一発で行える。そのような実務の変化には対応できていない。

 
 

新しいと思った3点

・業務上に確認頻度の多い情報はデスクマットの下に1枚ものの上にしてまとめて貼っておく。これは電子データを画像キャプチャしてパソコンのデスクトップへ貼る、でも代用可能。

・自分宛ての書類の受取/確認済みの場所を一元化する。ファイルトレーを2個使って、未着手/完了の書類をそれぞれ入れるようにすれば管理ができ、精神衛生的にも終わったことが見えるのでよい。

・電子ファイルのファイル名に期間を付けて、いつからいつまで使用していたものかわかるようにする。

 
 

自分の中での気付き:

この本を通して自分の生活を振り返ると?

事務員をしている人は個々まで細かく管理の方法についてノウハウを溜めているのだと正直感動した。一方で細かすぎるためにデジタル化の流れにはついていけていない感がある。自分が取り入れるとすれば、うまくデジタル化をハイブリットさせながら、より楽にミスのないようにアレンジしていく必要があると感じた。

 

気づいた結果として起こそうと思う行動:

この内容を使える場面は?

すでにファイルトレーの方法は試してみた。ただ、今現在はうまく活用できていない。トレー前に物があることや、ペンディングになっている資料が溜まってしまうことから活用が出来ていない。このあたりは改善の余地があると感じる。

 
 
 

【読後レビュー28冊目】嫌われる勇気 岸見 一郎, 古賀 史健

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

 

本文より。
あなた自身が変われば、世界はシンプルな姿を取り戻します。問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうであるか、なのです。

どんなもの?

 数年前一躍有名になり、今年ドラマ化もされた本作。人間の悩みは人間関係から発生するとし、他人からの承認欲求の一切を否定している。また今ここに集中することで精神的充足を得るとしている。究極的には、共同体(本書で言う共同体は時間軸を超え、国家、生物無生物など全てを包括する概念としている。)へ貢献できているという感覚を得ることで、人の精神的な悩みは消えるとしている。

 

今まで読んだ本と比べてどこがすごい?

 物語形式でアドラー心理学を説明しており、非常に理解しやすい。登場人物である哲人の語る語り口は非常に快活で、潔さを感じる。以下幾つか抜粋する。

アドラー心理学では、他者から承認を求めることを否定します

たとえば、「神が見ているから、善行を積む」と考える。しかしそれは「神など存在しないのだから、すべての悪行は許される」というニヒリズムと背中合わせの思想です。われわれは、たとえ神が存在しなかったとしても、たとえ神からの承認が得られなかったとしても、この生を生きていかねばなりません。むしろ神なき世界のニヒリズムを克服するためにこそ、他者からの承認を否定する必要があるのです

人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないことです。過去を見て、未来を見て、人生全体にうすらぼんやりとした光を当てて、なにか見えたつもりになることです

 

議論はある?(自分の中で浮かんだ疑問や反証)

 筆者も言っているが、アドラー心理学では「誰から始めるか」という点が非常に課題になっている。アドラー心理学においては、誰かが何かを出来ない状態では、他者からの「勇気づけ」のアプローチが必要と話す。何らかの原因によって一歩を踏み出せない状態になっているため、誰かがくじかれている勇気を取り戻させる必要があるとの考え方だ。これにより、「私は誰かに貢献できている」と感じることが出来る。この勇気づけの行動は世界中全ての人が同時に始めるのであれば問題ないが、誰かから始めないと逆に始まることはない。極端な話、世界全員が「勇気が足りない状態」なのであれば、誰も勇気づけをすることは出来ない。また、誰も勇気づけをやろうとしなければ、勇気が足りない人は救済されない。

 
 

新しいと思った3点

・人間の人生の悩みは人間関係から発生する。もし世界中に自分しか存在しなければ、人生における悩みは発生し得ない。

・他人を羨ましがる思考ではいけない。人は誰しも違いを持っている。それは違いであって優劣の付けられるものではない。人は水平な地平を歩いている。前を進む者がいれば、後ろを進むものもいる。ゴールが先にあるのではなく、時間軸として前なのか後なのかという問題だ、と考え直すことが出来る。

・仲良く暮らしていきたいのであれば、互いを対等な人格として認めなければいけない。

 
 

自分の中での気付き:

この本を通して自分の生活を振り返ると?

 仲良く暮らしていきたいのであれば対等な人格として互いを認めること、と言うのはぐさっときた。どちらかがどちらかにもたれかかりすぎてもいけない。かと言って全く興味のない状態ではそもそも一緒にいる意味がなくなってしまう。現実問題としてどのように実現するか難しいと感じた。

 

気づいた結果として起こそうと思う行動:

この内容を使える場面は?

 今ここに集中する、というのは単純にライフハックとして使えると思った。まず手を付けてみる、0秒思考など「人は着手し、継続していくうちに面白さややりがいを感じてくる」という人の性質に則っていると思った。

 
 

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